XF18-120mmは動画屋にとって悲願のレンズになるのか

2021年の9月のX summitで発表された新しいズームレンズXF18-120mm。焦点距離とイメージイラスト以外の確定情報は未だに明かされていない。公開されているデザインから想像するに、絞りリングが今までのレンズと違うように見えるのと、割と大きめのボタンやレバーのような物も伺える。X-pro1が発売された2012年から丁度10年の節目である今年2022に発売予定ということで、富士フィルムとしても力が入っているように思う。

 

噂ベースではあるものの
・F4通しのズームレンズ
・インナーズーム(ズームしても全長が変わらない)
ということで、これはもしや動画撮影を強く意識したレンズになるのでは?と注目している。

 

動画屋の僕としては、このレンズにとても期待している部分がある。

 

富士のズームレンズは、F値やISO、シャッター速度を同じ数値にしていても、ズームして焦点距離が変わると露出が少し変わってしまう。写真機としてはとても真面目で富士フィルムらしい仕様だと思うが動画機としては致命的で、大きな欠点として以前この事について書いたことがあるほど。今回のこのレンズでそれがなくなれば良いなと期待している。写真にはコンパクトな16-80、動画には18-120。そんな未来を期待してしまう。

 

APS-C富士フィルムだと18-120はフルサイズ換算で約28-180mm相当のレンズになる。これ一本でほぼイケるとても使いやすい焦点距離を抑えてるなとおもう。フルサイズで作るとより大きく重くなってしまうだろう。APS-Cの利点が活かされているように感じる魅力的なレンズだ。丸いボタンの下に見えるレバーのようなものも、もしかしたら電動ズームかなと期待してしまう。インナーズームで電動ズーム。もしそんなレンズだったら、これを目当てに富士フィルムに乗り換えてくる動画ユーザーもいるのでは無いかとさえ感じるほど魅力的だ。あくまでも想像ですが。

 

F4通しという噂が本当なら、明るさとして動画には充分だし、レンズの形状的にフォーカスブリージングにも気を配った設計になってるんじゃ無いかと期待してしまう。

 

コンパクトで評判の良いズームレンズを数揃えている富士フィルムが、あえて同じような焦点距離のレンズを出してくるとおもうと、動画屋としては悲願のレンズとしてどうしても期待してしまう。

 

期待ばかりのこのレンズ、X-H2との発売発表がとても楽しみですね。お財布持つかな、、、。

動画屋の僕がX-H2に期待してること

5月末に開催される「X Summit 2022」に登場すると噂されるX-H2に動画屋目線で期待していることをまとめてみたいと思います。

 

僕は現状のX-H1に概ね満足しているのですが、個人的に思う致命的な欠点が残っていることも確かで、現在ではVマウントバッテリーと外部録画で運用している。欲を出さなければこの欠点を改善してもらえるだけで満足です。ただ、それだけだと買い替える必要もないかなと感じるのも確かで、待ちに待った後継機に色々な想いを馳せています。

 

先ず必須なのは、録画時間を無制限にして欲しい事と、それに見合うバッテリーの持ち時間。

これが無ければ買い替える事はない。これが無いなら結局運用方法は今と変わらないし、であれば、今のX-H1で十分に満足してしまっている。バッテリーグリップを装着しても構わないのでこれが実現される事を願ってる。

 

もう少し欲をかくと、AFの強化だ。X-T4では大分改善されたようだが、動画撮影でもトラッキングAFが使いたい。当然ただ使えるだけでは実用に耐えれないと思うので、他社カメラと同等かそれ以上のもので有ればと期待している。

 

僕の場合ワンマンオペレーションが基本なので、AFをカメラに任せることが出来たら今よりもより成功率が上がると思っている。

 

あと、物凄く細かいことかも知れないが、イヤフォンジャックはちゃんとボディにつけて欲しい。AFやマニュアルの切り替えもレバーだけではなくボタンでも出来る様にして欲しい。録画中にAF/MFを切り替える時、レバーだとどうしても画面が揺れてしまう。

ミラーレスカメラに動画機能やその為のボタンを詰め込むことに拒否反応をしめす人がいる事は知っているが、このシリーズは仕事でも使いたい富士フィルムユーザーをターゲットにしていると願いたい。そうした場合、やはり今の時代はハイブリッドカメラである事は必須ではないだろうか?NikonのZ9がそれを示しているように思う。現に僕の収入のメインは動画だが、年間の1/5はスチールの仕事だ。映像を作っている時も、写真の素材なども積極的に使ったりしている。私のように小さなフリーランスの動画屋さん達も皆同じ気持ちでは無いのかなと思う。噂にあるように8K動画を搭載してきたのなら、動画から写真を切り出すという撮影方法だって大いに現実味を帯びてくる。それが良いか悪いかは別として。メカとして動画と写真は非常に似ている。

 

目的を見失わなければ、手段が増える事はとても良い事である。

 

話は脱線したが、つまりX-H2が待ち遠しくて堪らない!

2022年の動画機X-H1②〜欠点編〜

今回は動画機X-H1の欠点を書いていきます。前回X-H1の魅力を書いた通り、私としてはとても気に入っているカメラなので、欠点をなんとか工夫して使い続ける道を選びました。私が思う欠点は不良品ではないかと疑うレベルのもので、富士フィルムに確認してみると仕様であるとのことでした。この欠点に関してレビューなどは見たことがないので購入を検討している方の参考になれば良いなと思います。

先ず、よく聞く欠点としては、8bit422収録4K撮影時のクロップオートフォーカスが遅い。などがありますが私としてはこれらは特に気になりませんでした。最近では他のメーカーでは当然のように10bitや高精度のAFを積んできているので物足りなさを感じることはもちろんありますが、この欠点があるから仕事では使えないとはなりませんでした。私がどのような環境や仕事でX-H1を使っているのかご興味ある方は前回のブログを読んでいただければと思います。

hayashi-forest.hatenablog.jp

8bit422収録に関しては、このカメラの魅力でもあるフィルムシュミレーションの完成度が異様に高いということにあります。10bitで録画出来るメリットとしてカラーグレーディングをした際に破綻が少ないことが有名かと思いますが、フィルムシュミレーションでの撮影の場合、撮って出しの映像でほぼ問題ありません。多少のコントラストや色味の変更には8bitでも十分に耐えている印象です。

購入前に1番心配だった4K撮影時のクロップに関してもいざ使ってみると全く気になりませんでした。

オートフォーカスの遅さは覚悟していましたし、今までのカメラでもマニュアルフォーカスがメインでしたので気にしていません。マニュアルフォーカスのやり易さも私が使ってきた他のカメラと変わりません。

他にもよく聞く欠点としては連続撮影時間の短さやイヤフォンジャックがない事などがあげられると思います。これらの欠点を補う為にX-H1には別売りのバッテリーグリップが用意されています。このグリップをつけることによって一部機能が拡張されます。本体ボディーのみでは連続撮影時間が15分(4K収録時)に対しバッテリーグリップを付けることで30分に伸びます。また本体にはないイヤホンジャックがこのバッテリーグリップについていて、音声をモニターすることが出来ます。動画機としてX-H1を考えている人にとってこのバッテリーグリップは必須のアイテムと考えている人も多いのではないでしょうか?しかし、この頼みの綱でもあるバッテリーグリップこそがX-H1を快適に運用する上で大きな欠点となっています。購入前に多くのレビューを読みあさっていましたが、このバッテリーグリップが持つ不親切な仕様に関しては言及しているものはありませんでしたので、これから購入する人にとっては注意喚起として伝えたいなとおもいます。結論からいいますと、このバッテリーグリップは、イヤホンジャックが使えるようになること以外、1つのメリットもありません。そしてそのイヤホンジャックですらノンストレスで運用は出来ません。

まず一番注意しなくてはいけないことは、連続録画時間です。バッテリーグリップをつけることで15分から30分に伸びますが、常に30分撮れるわけではありません。このバッテリーグリップを使う事でボディー側のバッテリーと合わせると合計で3つのバッテリーを一度に装着する事が可能です。1つのバッテリーは体感で約40分ほどしかもちません。3つあれば単純に120分くらいだと予想して、あまり頻繁に電池交換をしたくない私はバッテリーグリップを使うことによって電池交換の回数を減らしたいと考えていましたが、それは叶いませんでした。

何故なら、3つあるうちの1つのバッテリー残量が切れ、次のバッテリーに切り替わるタイミングで録画は終了されてしまいます。たとえば、録画時間がまだ数秒しか経っていなくてもバッテリーが切り替わるタイミングで録画が終了してしまうのです。先に言った通り一つのバッテリーで約40分ほどしか撮影できないのでバッテリーグリップを使用していたとしても常に1つのバッテリー残量を気にしながらの撮影をしなければいつ録画が止まるか分かりません。時間の制約だけでなく、撮り直しの出来ないシチュエーションは多くあるはずで、これはとてもストレスです。動画撮影においてこのバッテリーグリップは殆ど意味をなさないと感じました。

バッテリーを頻繁に交換したくないからこそバッテリーグリップを購入したのですが、、、、。仕様であればしかたがないと割り切り、イヤホンジャックと30分録画のために使い続けていますが、上記の理由から頻繁にバッテリー交換を強いられます。しかしイヤホンジャックの位置が絶望的に悪いので、バッテリー交換の取り回しが絶望的です。一度イヤホンジャックを外さないとバッテリーカードリッジが抜けない仕様になっています。とてもわずらわしいです。さらにイヤフォンジャックの蓋の役割としてゴムカバーが有るのですが、イヤフォンを抜き刺すするたびにこれが邪魔で本当に鬱陶しい。

バッテリーグリップとイヤホン
イヤフォンを抜かないとバッテリーが取り出せない

小さなことかもしれませんが、何度も何度もバッテリーを交換するたびにイヤホンを外し付け直すのはとてもストレスで、バッテリーを交換した後、イヤフォンを差し忘れることもしばしば。これが嫌でバッテリーグリップを使わずに本体ボディーのみで運用していた時もあるほどですが、音声をモニターできないのはまた不安があるので、今でもこの大っ嫌いなバッテリーグリップを使っています。

安定した録画時間を確保する為に最近では、VマウントバッテリーとNinjaV(外部収録モニター)で運用をしています。1つのVマウントバッテリーからカメラとモニターへ電源を供給し、外部収録をしていれば4K時のクロップ以外、上記の欠点は全て補えます。NinjaVにもイヤホンジャックが付いているので音声のモニターもそこでしてしまえばバッテリーグリップは必要なくなりますが、配線の都合で私はバッテリーグリップのイヤホンジャックを使っています。

それと最後にもう一点。ズームをすると露出が変わることです。これはX-H1に限らず、富士フィルムのカメラ全般に言えることです。バッテリー問題と違い、解決が出来ず、人によっては致命的な欠点になるかと思います。所謂通しのレンズ、ズーム全域で開放F値がF4やF2.8などに固定できるレンズを動画撮影者は好んで選ぶと思いますが、その理由は、ズームをしても露出が変わらないからということが多いかと思います。富士フィルムのレンズの場合、設計上同じF値であっても明るさが変わります。徐々に変わるのではなくガクッと変わるので、撮影をしながらズーミングをしたい場合は明るさが変わってしまいます。レンズの設計上の都合ということなので、X-T4などでも同じ問題があると思います。マウントアダプターなどを介して富士フィルム以外のズームレンズを使えばこの問題は起こりません。もしかしたら新しく開発発表のあったXF18-120 f4でははこの問題は無くなるかもしれません。期待しています。

5月に開催されるXサミットで後継機X-H2の発表が期待されるなかで今X-H1を買うのは如何なものかと感じる人は多いかと思いますが、これら欠点を理解したうえでX-H1を使うことが出来れば、2022年の今現在でも、とても素晴らしいカメラだと思っています。中古では10万円を切る値段で購入できますので、お勧めです。

もし、X-H1に興味があるけど仕様に不安があり購入に悩んでいる方など、ご質問いただければ出来る限り答えさせて頂きたいと思っています。お気軽にコメント頂ければありがたいです。

 

2022年の動画機X-H1①〜魅力編〜


後継機であるX-H2の足音が日に日に大きくなっていく中ですが、2022年のX-H1を「動画機」として評価してみようと思いました。動画機として足りないものだらけのこのX-H1を手放さずに使い続けてこれたのは、それだけの魅力がこのカメラにはあったからなのだと思います。今さらではあるけれど、長く使ってきたことで知ることが出来たこのカメラの魅力や欠点をまとめてみたいと思います。長くなるので2回に分けて投稿しようとおもいます。今回は主にカメラの魅力について語っていきます。

 

どのような環境や仕事で私がX-H1を使ってきたのか、自己紹介も含めて少しだけ説明させて下さい。

 

約13年前に自習映画から始まった私のカメラキャリアはニコンD90から始まりキヤノンEOS 5D mk2、SONY Fs100、 FS5iiを経てX-H1に辿り着きました。いただく仕事は撮影から編集までをワンオペですることが大半で、自分のカメラのみで仕事を完結できるという環境もあって、映像業界ではマイナーなX-H1をメインカメラとして使い続けてこられました。撮影部を外注したり、特殊効果などの大掛かりな編集作業が必要な作品に関してはSONYのカメラをレンタルして使うことが多くありますが、他メーカーのカメラに触れる機会が増すにつれ、X-H1は私のメインカメラとしての地位を確実にしてきたような気がします。タフで取り回しの良いこのカメラはスマホで撮影をするような気軽さを私に与えてくれました。偶然遭遇した他愛のない光景を手持ちでサッと撮る。撮影の合間に撮り溜めたそんな動画達は私の作品に味を与えてくれているのではないかなと感じています。

 

そんな愛機であるX-H1の魅力は、リストにすると数が少なく、欠点ばかりが目につきます。ちゃんとしたビデオカメラが必要な時はレンタルして、手元に置いておくのは手軽なカメラだけで良いかなと考えていたこともあり、足りない事が多いこのカメラを使い続けることにしました。当初は「このカメラでも撮れるからこれでいいかな」という考えでしたが、次第に「なんとかしてこのカメラで撮りたいな」という考えに変わっていきました。

 

X-H1の魅了は、①タフなボディ②手ぶれ補正③自由度の高いカスタムボタンや操作ダイヤル、そして唯一無二である④映像の色味です。

 

①タフなボディは使っていて安心感があります。この安心感は精神安定剤のように現場にいる私を落ち着かせてくれました。ワンオペで動く私にとって、カメラはいわば仲間や同僚のようなもので、信頼関係を築くことは大事です。長く連れ添うなかで簡単には弱音を吐かずに精一杯期待に応えようとしてくれるこのタフなボディは信頼のできる頼もしい仲間になりました。

 

②所謂プロ機と呼ばれるカメラの多くはNDフィルターを内蔵している物が多く手振れ補正機能は入っていません。現在の技術では機構上の都合でどちらか一方しか搭載することが出来ないためです。当初私も手振れ補正はいらないと考えていました。なぜなら手ブレをさせない撮影の場合は三脚やジンバルを使用するからです。手振れ補正機能のあるX-H1でも同様にこれらのシステムを組みます。ならば質の高いNDを内蔵していた方が使いやすいと感じていました。内蔵のNDフィルターはカメラのボタンやダイヤルから濃度を変えられるため、セッティンがとても楽です。また、NDフィルターによる色味の変化が起き難く、より安定した動画の撮影が出来ます。ではなぜ内蔵NDよりも手振れ補正に魅力を感じているのかというと、ふとした時に手持ちのまま安定した動画を撮影する事が出来るからです。もともと撮影する予定のなかったそのちょっとした動画は結局使わない事が多く、そんな不確かな動画のためにわざわざカメラにジンバルをつけたり三脚をセッティングしたりするのは時間のない現場では少し難儀です。なので本当に必要かどうかと自問自答している間にリスクを考えて諦めてしまいがちでした。ただ現場で感じたそのふとしたシーンを動画として持ち帰ることで、作品の味として活躍してくれる事も少なくありません。私にとって現場でのその感覚はとても大切で、そんな動画をX-H1の手振れ補正のおかげで気軽に撮れるようになり諦めることが随分と減りました。X-H1に出会ってからアンテナが敏感に働くようなった気がします。

 

③このカメラのカスタマイズ性の高さはボタンやダイヤルに収まらず、メニュー画面にまでおよびます。なんでも出来るわけではありませんが、カメラを自分好みにカスタムすることがとても楽しい事、それをする事で自分の所有するカメラにより愛着を持てるようになることをこのカメラが教えてくれました。自分のX-H1と他人のX-H1ではまるで別物に感じる。それがまた嬉しくて愛らしい。その愛着ゆえに使い続ける事が出来たのかもしれません。常に最新のカメラを追い続けることも大事ですが、一つのカメラを余すことなく使うために、使い続けるのも同じくらい大事なのだと気付かせてくれました。

 

④そしてこのカメラを購入するきっかけにもなり、今でも一番の魅力を感じるのは映像の色味です。使えば使うほどその色味のレベルの高さに感動します。カラーグレーディングが特殊で特別なものだったのは今や昔で、現在ではより一般的なものになりとても身近なものになりました。しかし富士フィルムのフィルムシュミレーションクラスのカラグレが出来る編集マンがどれほどいるのだろうかと思うほどX-H1から出てくる動画のカラーバランスのレベルは高いように思います。撮影のみならず、優秀なカラリストとしても私を助けてくれています。

 

以上の4点のみが私が感じるX-H1の魅力です。この3点にどれだけの価値を感じられるかで、このカメラの評価は大きく分かれるのだろうと感じています。購入した当初は色味以外は使い勝手が悪く、手放してしまおうと何度も考えましたが、使うたびに小さな魅力を常に発見し、長く使い続けたことで、このカメラを通して映像との向き合い方を改めることが出来ました。このカメラを使っていて思うことは、富士フィルムという会社は機能を売るのではなく、機械を売っている。そんな印象を感じました。物作りというのは奥床しいものですね。

 

次回はX-H1の欠点を書きたいと思います。もしこのブログを読んで動画機としてのX-H1に興味や魅力を感じて頂けたのなら、購入の前に必ず知っておいた方がいい欠点を紹介しようと思いますので、是非また足を運んでいただけたらと思います。

 

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