2022年の動画機X-H1②〜欠点編〜

今回は動画機X-H1の欠点を書いていきます。前回X-H1の魅力を書いた通り、私としてはとても気に入っているカメラなので、欠点をなんとか工夫して使い続ける道を選びました。私が思う欠点は不良品ではないかと疑うレベルのもので、富士フィルムに確認してみると仕様であるとのことでした。この欠点に関してレビューなどは見たことがないので購入を検討している方の参考になれば良いなと思います。

先ず、よく聞く欠点としては、8bit422収録4K撮影時のクロップオートフォーカスが遅い。などがありますが私としてはこれらは特に気になりませんでした。最近では他のメーカーでは当然のように10bitや高精度のAFを積んできているので物足りなさを感じることはもちろんありますが、この欠点があるから仕事では使えないとはなりませんでした。私がどのような環境や仕事でX-H1を使っているのかご興味ある方は前回のブログを読んでいただければと思います。

hayashi-forest.hatenablog.jp

8bit422収録に関しては、このカメラの魅力でもあるフィルムシュミレーションの完成度が異様に高いということにあります。10bitで録画出来るメリットとしてカラーグレーディングをした際に破綻が少ないことが有名かと思いますが、フィルムシュミレーションでの撮影の場合、撮って出しの映像でほぼ問題ありません。多少のコントラストや色味の変更には8bitでも十分に耐えている印象です。

購入前に1番心配だった4K撮影時のクロップに関してもいざ使ってみると全く気になりませんでした。

オートフォーカスの遅さは覚悟していましたし、今までのカメラでもマニュアルフォーカスがメインでしたので気にしていません。マニュアルフォーカスのやり易さも私が使ってきた他のカメラと変わりません。

他にもよく聞く欠点としては連続撮影時間の短さやイヤフォンジャックがない事などがあげられると思います。これらの欠点を補う為にX-H1には別売りのバッテリーグリップが用意されています。このグリップをつけることによって一部機能が拡張されます。本体ボディーのみでは連続撮影時間が15分(4K収録時)に対しバッテリーグリップを付けることで30分に伸びます。また本体にはないイヤホンジャックがこのバッテリーグリップについていて、音声をモニターすることが出来ます。動画機としてX-H1を考えている人にとってこのバッテリーグリップは必須のアイテムと考えている人も多いのではないでしょうか?しかし、この頼みの綱でもあるバッテリーグリップこそがX-H1を快適に運用する上で大きな欠点となっています。購入前に多くのレビューを読みあさっていましたが、このバッテリーグリップが持つ不親切な仕様に関しては言及しているものはありませんでしたので、これから購入する人にとっては注意喚起として伝えたいなとおもいます。結論からいいますと、このバッテリーグリップは、イヤホンジャックが使えるようになること以外、1つのメリットもありません。そしてそのイヤホンジャックですらノンストレスで運用は出来ません。

まず一番注意しなくてはいけないことは、連続録画時間です。バッテリーグリップをつけることで15分から30分に伸びますが、常に30分撮れるわけではありません。このバッテリーグリップを使う事でボディー側のバッテリーと合わせると合計で3つのバッテリーを一度に装着する事が可能です。1つのバッテリーは体感で約40分ほどしかもちません。3つあれば単純に120分くらいだと予想して、あまり頻繁に電池交換をしたくない私はバッテリーグリップを使うことによって電池交換の回数を減らしたいと考えていましたが、それは叶いませんでした。

何故なら、3つあるうちの1つのバッテリー残量が切れ、次のバッテリーに切り替わるタイミングで録画は終了されてしまいます。たとえば、録画時間がまだ数秒しか経っていなくてもバッテリーが切り替わるタイミングで録画が終了してしまうのです。先に言った通り一つのバッテリーで約40分ほどしか撮影できないのでバッテリーグリップを使用していたとしても常に1つのバッテリー残量を気にしながらの撮影をしなければいつ録画が止まるか分かりません。時間の制約だけでなく、撮り直しの出来ないシチュエーションは多くあるはずで、これはとてもストレスです。動画撮影においてこのバッテリーグリップは殆ど意味をなさないと感じました。

バッテリーを頻繁に交換したくないからこそバッテリーグリップを購入したのですが、、、、。仕様であればしかたがないと割り切り、イヤホンジャックと30分録画のために使い続けていますが、上記の理由から頻繁にバッテリー交換を強いられます。しかしイヤホンジャックの位置が絶望的に悪いので、バッテリー交換の取り回しが絶望的です。一度イヤホンジャックを外さないとバッテリーカードリッジが抜けない仕様になっています。とてもわずらわしいです。さらにイヤフォンジャックの蓋の役割としてゴムカバーが有るのですが、イヤフォンを抜き刺すするたびにこれが邪魔で本当に鬱陶しい。

バッテリーグリップとイヤホン
イヤフォンを抜かないとバッテリーが取り出せない

小さなことかもしれませんが、何度も何度もバッテリーを交換するたびにイヤホンを外し付け直すのはとてもストレスで、バッテリーを交換した後、イヤフォンを差し忘れることもしばしば。これが嫌でバッテリーグリップを使わずに本体ボディーのみで運用していた時もあるほどですが、音声をモニターできないのはまた不安があるので、今でもこの大っ嫌いなバッテリーグリップを使っています。

安定した録画時間を確保する為に最近では、VマウントバッテリーとNinjaV(外部収録モニター)で運用をしています。1つのVマウントバッテリーからカメラとモニターへ電源を供給し、外部収録をしていれば4K時のクロップ以外、上記の欠点は全て補えます。NinjaVにもイヤホンジャックが付いているので音声のモニターもそこでしてしまえばバッテリーグリップは必要なくなりますが、配線の都合で私はバッテリーグリップのイヤホンジャックを使っています。

それと最後にもう一点。ズームをすると露出が変わることです。これはX-H1に限らず、富士フィルムのカメラ全般に言えることです。バッテリー問題と違い、解決が出来ず、人によっては致命的な欠点になるかと思います。所謂通しのレンズ、ズーム全域で開放F値がF4やF2.8などに固定できるレンズを動画撮影者は好んで選ぶと思いますが、その理由は、ズームをしても露出が変わらないからということが多いかと思います。富士フィルムのレンズの場合、設計上同じF値であっても明るさが変わります。徐々に変わるのではなくガクッと変わるので、撮影をしながらズーミングをしたい場合は明るさが変わってしまいます。レンズの設計上の都合ということなので、X-T4などでも同じ問題があると思います。マウントアダプターなどを介して富士フィルム以外のズームレンズを使えばこの問題は起こりません。もしかしたら新しく開発発表のあったXF18-120 f4でははこの問題は無くなるかもしれません。期待しています。

5月に開催されるXサミットで後継機X-H2の発表が期待されるなかで今X-H1を買うのは如何なものかと感じる人は多いかと思いますが、これら欠点を理解したうえでX-H1を使うことが出来れば、2022年の今現在でも、とても素晴らしいカメラだと思っています。中古では10万円を切る値段で購入できますので、お勧めです。

もし、X-H1に興味があるけど仕様に不安があり購入に悩んでいる方など、ご質問いただければ出来る限り答えさせて頂きたいと思っています。お気軽にコメント頂ければありがたいです。